フェイスブックは2年で1万件以上の工作アカウントを削除
このような組織的な情報工作への対処を担っているのは、前述のメタやツイッターなどのプラットフォームだ。オックスフォード大のハワード氏のチームの調査のベースとなっているのも、これらの企業が公開しているアカウントなどの削除情報だ。
ハワード氏らのまとめでは、2019年1月から2020年11月までの期間で削除されたのは、フェイスブックのアカウントが1万893件、フェイスブックページが1万2588件、フェイスブックグループが603件、インスタグラムが1556件、そしてツイッターアカウントが29万4096件だ。
メタは「組織的不正行為」、ツイッターでは「情報工作(Information Operations)」として、それぞれアカウント削除などの措置を定期的に公開している。メタが2021年11月1日に発表した最新の「組織的不正行為」リポートによれば、10月には、ニカラグア政府とサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)党に関連して、896件のフェイスブックアカウント、132件のフェイスブックページ、24件のフェイスブックグループ、362件のインスタグラムアカウントを削除している。
またツイッターが2月に公表した「情報工作」の透明性リポートでは、イランで238件、アルメニアで35件、ロシアで計100件のアカウントを削除した、としている。
Dappiは情報工作だったのか実態解明を
「ビジネス化」するソーシャルメディア上の情報工作に対して、できることは何か。まずはソーシャルメディアが情報工作の検知精度を高め、信頼度の低い情報の拡散を抑えるよう、コンテンツ管理をさらに強化していくことだ。そして情報工作の実態を、よりきめ細かくユーザーに共有し、社会と連携していくことも求められる。
メディアによる、情報工作の実態解明も重要だ。「Dappi」は情報工作だったのか、そうではなかったのか。社会のインフラとなったソーシャルメディアの裏側で何が行われているのか。多くの人たちが、知りたがっているのではないか。