今回の衆院選で、立憲民主党は惨敗し、枝野幸男代表は引責辞任する意向を表明した。ジャーナリストの鮫島浩さんは「今回の野党共闘は不十分だった。立憲が『共産アレルギーで中間層が逃げた』と総括して共産を切り捨てたところで、多党時代は生き残れないだろう」という――。
衆院選、ふたを開ければ“野党共倒”
立憲民主党が衆院選で惨敗し、枝野幸男代表が引責辞任する意向を表明した。年内には新しい代表を選出して体制を一新し、来年夏の参院選で党勢の立て直しをめざす。
立憲の敗因は7割以上の小選挙区で野党候補を一本化した「野党共闘」のあり方に問題があったという見方が大勢だ。だが、野党共闘の何が悪かったのかをめぐっては、まったく逆方向のふたつの分析がなされている。
ひとつめの分析は、共産党と共闘したこと自体が「左に寄りすぎた」として有権者の離反を招いたというものだ。実際、自公与党は全国各地で「立憲共産党」と揶揄し、共産党を含む「野党連合政権」への警戒感をあおった。
共産党を敵視している連合もこの野党共闘を痛烈に批判。公明候補と共産候補が激突した東京12区で公明候補の支援に回るなど、与党寄りの姿勢をにじませた。連合の影響力を最も受ける国民民主党は自公政権と是々非々で向き合う姿勢を強調し、議席を伸ばした。
これに対し、枝野氏は共産党と連立政権を否定し、あくまでも「限定的な閣外協力」にとどまることを強調。共産党の志位和夫委員長が「野党共闘」を強くアピールする一方で、枝野氏自身は「野党共闘」という言葉さえ使わず、立憲による「単独政権」を目指す考えを強調し、「共産党隠し」に躍起になった。
ひとつめの分析は、それでも共産党色を消せず、とくに共産党へのアレルギーが強い地方で立憲離れが加速したという見立てである。小沢一郎氏(岩手3区)や中村喜四郎氏(茨城7区)が選挙区で敗れたのは、そのような見方を裏付けるものだろう。