ところが、総裁選で勝利したのは、麻生氏と安倍氏に後押しされた岸田氏だった。岸田政権は新自由主義からの転換を掲げたため、経済成長重視派が維新に多く流れたに違いない。
これに対し、「超積極財政による弱者保護」の視点を明確に掲げて衆院に進出したのが、れいわ新選組である。自民党と立憲民主党の対立軸よりも、維新とれいわの対立軸のほうが明確でわかりやすい。二大政党政治の掟に縛られて「中道」に位置を取り、政策的主張がぼやけていく自民と立憲は今後、ますます埋没していくのではないか。
単独政権を担う力を失っていく自民・立憲の二大政党、老舗の組織政党である公明・共産、左右の新興勢力である維新とれいわ。この6党の政党間協議や選挙協力を通じてこれからの日本の政治は動いていく。
どの政党も単独政権を担う力はない。二大政党政治から多党による連立政治へ。自公逃げ切り、維新躍進、立憲惨敗に終わった今回の衆院選は、本格的な多党制時代の幕開けとなろう。
リベラルを標榜するなら共産アレルギーを乗り越えるしかない
立憲民主党の代表選に話を戻す。「共産アレルギーで中間層が逃げた」と総括して共産党を切り捨てたところで、多党制時代の多数派は形成できない。共産党が存在する限り、何かしらかの協力は絶対に必要なのだ。
一方、連合は自公与党への接近を強めている。立憲が連合への配慮を繰り返せば、ますます自公との違いはぼやけ、埋没していくだろう。その場合、立憲と決別した共産やれいわが第三極として台頭していくのではないか。
立憲が生き残る道は、世の中の共産アレルギーを薄めつつ、共産を取り込んでいくしかないと私はみている。自民党も20年前は公明アレルギーを乗り越え、連立政権を築いた。同じようなプロセスはリベラルを標榜する野党第一党として避けては通れないだろう。この論考が立憲民主党代表選への問題提起となれば幸いだ。