苦戦するメンバーに必要なのは「達成の設計図」

確認してみると、やはり、このままやり続けても目標は達成できないことが判明しました。具体的には、次のような原因がありました。

・商談からの契約に至っている率は10%しかない(会社の予測は30%)。

つまり、3件の契約をとるためには30件もの商談が必要になる計算に。

・電話から商談に至っている率は2%と問題なし(予測も2%の見立て)。

でも、そもそも商談からの契約率が10%と想定を下回っているため、30件の商談が必要な状況になっており、必要な架電数は月間で1500件(1日75件が必要)に膨れ上がっている。

・つまり、1日さらに30件の電話をかけなければならないにもかかわらず、不足したまま、全力で達成率の低い商談に力を注いでいる状態に。

この状態であれば、商談での契約率を10%から30%に引き上げるか、または、架電数を1日75本にするか、アポイント率をさらに上方修正する必要があります。

このように、現状をきちんと確認しておかないと、部下にやみくもに努力させ続けることになってしまうのです。

メンバーが頑張っているのに結果が出ていないときは、「達成の設計図」があるかどうかの確認はもちろん、あったとしても、そのとおりに実行できているかを確認することが重要なのです。

■まとめ:メンバーの「何を」マネジメントしている?
■NG「行動のマネジメントばかりをする
結果が出ていないときは特に、部下の行動を逐次把握しようとしがちですが、「達成の設計図」が間違っていれば、意味がありません。
■OK「プロセスのマネジメント」が適切かを考える
メンバーの結果が出ていないときこそ、目標達成に向けてのプロセスが適切かどうかを、きちんと確認してみましょう。

「徹底の基準」を明確にするべき

上司「ちゃんとやっている?」
部下「はい、ちゃんとやっています」

こんな会話が通用するのは、「徹底の基準」が共有されているときだけです。

言われたことだけをきちんとやっていれば、「ちゃんとやっている」という人もいれば、言われたことだけでなく、自分なりにやり方を工夫してアレンジすることを「ちゃんとやっている」と考える人もいます。

これだけでは足りないという人もいるでしょう。「自分だけの工夫ではなく、上司や先輩に相談して、自分の不足を補う」ことこそが、「徹底」だと考える人もいます。

つまり、どのくらいが「ちゃんと」なのかという、「徹底の基準」を、チーム内で明確にしておかねばならないのです。

もちろん、「自分だけの工夫ではなく、上司や先輩に相談して、自分の不足を補う」ことが理想的な「徹底」の姿です。メンバーの目標を必ず達成させるマネジメントの鍵は、このレベルで「徹底の基準」を揃えておくことです。