アベノマスク=給食マスクで世界に嗤われてしまった安倍首相
人呼んで「アベノマスク」。安倍晋三首相が4月1日に発表した新型コロナウイルス対策の施策「1世帯2枚の布マスク配布」が波紋を広げている。
施策の内容にも問題はあるが、筆者は「発表の仕方」に問題があったと思う。一言でいえば、それは「官僚式」そのものだった。血が通っておらず、大局観に欠けている。国会ではそれで間に合うかもしれないが、「国民向け」には不適格だ。
新聞各紙は7日にも緊急事態宣言が出される見込みだと報じている。その今こそ、首相として望ましいコミュニケーションとはどんなものなのか。今回、リーダーシップコミュニケーションの「7カ条」を提案したい。
1.見出しが9割と心得る
今回のマスク施策は、医療機関への配布を優先させるためには理解できる面もあった。しかし、クローズアップされたのは「布マスク2枚」ばかりだった。
一部では「メディアの切り取り」と批判する声もあったが、これは発信側の戦略ミスである。100言おうが200言おうが、相手が受け止めるメッセージは1つか2つ。聞き手の記憶には残るのは、最も目立ち、ニュース性のあるメッセージ、つまり「見出し」になる要素だけなのだ。
あの日の首相の発言は、誰が聞いても、「布マスク2枚」に注目してしまうだろう。なぜ布なのか、なぜ2枚なのか、その費用に見合うのか。そうした疑問が次々と浮かんでしまう。
コミュニケーションの肝は「自分が何を言うか」ではない。「相手が何を聞くか」である。情報発信のプロであれば、大局観をもって「見出し」を先読みする想像力、自分の望むメッセージを聞き手の脳裏に焼き付ける戦略が必要なのだ。安倍首相およびそのブレーンは何をしているのだろうか。