新聞社の仕事は「権力の広報」ではない

このような事態が起きていたとは、私の想像をはるかに超えていた。会社側は記者たちにこれまで積み上げてきた価値観を捨てろといっているのだ。

望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラー『同調圧力』(角川新書)

ロイターの記事は、普段わりと淡々と事実を書いている印象だが、この記事は臨場感と危機感にあふれている。ロイターの記者たちも同業者としてとんでもないことが起きている、世の人々に伝えなければと思ったのではないか。ロイターの記事によれば、この変節は部数と広告の低迷が背景にあるといっている。権力に批判的な記事を載せることが本当に部数減の要因だろうか。

新聞社の仕事は権力のチェックであり、広報ではない。ニューヨーク・タイムズは今、電子版の部数が伸び、空前の黄金期だという。なぜなのか。そこにしかない情報があるから、読者はお金を払ってでも読みたい、と思うのだ。今、記者に求められていることは何か。そんなことを改めて考えさせられている。

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