たばこの値段を上げて喫煙者を減らせ
たばこの煙には発がん物質が含まれ、受動喫煙で肺がんや脳卒中、心筋梗塞などの病気になる危険性が科学的に証明されている。そのため喫煙率はかなり低くなってはいる。
だが、受動喫煙によって国内では毎年約1万5000人もの非喫煙者が亡くなると、厚労省の研究班は推計している。交通事故による死者数約6000人を大きく上回る数字だ。
たばこをめぐっては、大蔵省(現・財務省)と厚生省(現・厚労省)が対立してきた経緯がある。大蔵省はたばこの売り上げを伸ばして税金を取りたい。しかし厚生省は公衆衛生の観点から喫煙を減らして国民の健康を守りたい。同じ政府でも置かれた立場、立場でその主張が違っていくるからやっかいな話である。
吸いたくもない煙を吸わされる受動喫煙という理不尽さをどう解決したらいいのか。
繰り返すが、飲食店や公共のスペースは、分煙ではなく、一律に全面禁煙にすべきだ。受動喫煙防止を徹底するとともに喫煙者を減らしていく。そのためにもたばこの値段をいまの倍以上に上げるべきだろう。これが沙鴎一歩の主張である。
社説をぼやかしたのは愛煙家の論説委員か
朝日新聞や東京新聞の社説はなぜ、「受動喫煙の防止」を評価しながら、「喫煙は合法的だ」と書くのだろうか。答えは簡単だ。たばこが止められない論説委員が何人かいるからである。
私の知っている新聞社の論説委員たちを見ても、酒を飲みながら喫煙を楽しむ輩は多い。とくに50歳を超えた年配の論説委員にそうした喫煙者が目立つ。
恐らくこうした論説委員が、社説のテーマと書き方を決める論説会議で「喫煙は法律違反ではない」と余計なことを言い出したのだろう。だから、受動喫煙の被害をなくそうという肝心な主張がぼやけてしまったのだ。
ところで国や都がこれだけ受動喫煙を問題視するなか、一体、たばこはどこで吸えばいいのだろうか。
部屋の中では家族が受動喫煙の害を受けるし、特定の部屋で吸えばその部屋が臭くてどうしようもなくなる。だから煙が拡散する外で吸うのが一番いいだろう。ただ、いまの時代、路上喫煙も禁止されているから、喫煙が許されたエリアを見つけて吸うしかない。
喫煙者の肩身は狭くなる一方だが、たばこは「百害あって一利なし」といわれて久しい。喫煙者の自覚がますます求められている。