小宮一慶氏が分析・解説
思いつきは、当たるも八卦、外れるも八卦の占いの世界の話である。単なる思いつきに事業を委ねたら、ギャンブルになってしまう。もし上司に「そんな思いつきではダメ」と批判されたら、どこまで深く考えたのか振り返ってみることが大切だ。
また、需要家の声の中には、時として苦言も含まれているはず。しかし、それは往々にして自社の改善につながる。経営者には謙虚さや素直さが必要なのだが、マイナス情報に耳を傾ける謙虚さがあるから改善ポイントも見抜けるのだ。しかし、手間のかかることが多く、どうしても目をつぶってしまいがちになる。
それだけに、伊藤氏の“100万人のイエスより一人のノーを優先”という信念に基づいた、ひらめきと、その実践は輝いて見える。どんなに素晴らしいひらめきでも、実践されなくては意味がないからだ。
1957年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現職。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』など著書多数。