官民協働で外資誘致。核は「虎ノ門ヒルズ」

2013年4月25日、六本木ヒルズ開業から10年目の式典で、会場に集まった大勢の関係者を前に、辻は「森ビルは『都市を作り、都市を育む仕事』を通じて、これからも東京の磁力を作り出していきたい」と意気込みを語った。

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港区に集中している「再々開発」の布石物件たち

そんななか、環状2号線(通称マッカーサー道路)の完成とともに来年開業する虎ノ門ヒルズが、同社にとって直近では最も大きなプロジェクトとなる。

これは「環状第2号線新橋・虎ノ門地区」の再開発に伴うもので、事業施行者は東京都だ。森ビルは特定建築者として街区の核となる「虎ノ門ヒルズ」の開発を請け負っている。高さは地上52階。完成すれば、東京ミッドタウンに次ぎ、都内で2番目の高さとなる。

「虎ノ門を含む六本木、神谷町、新橋という港区のエリアは、国際新都心として東京の中心となる可能性があると考えています。その意味で虎ノ門ヒルズの役割は相当に大きなものになるはずです」

再開発が進む「環2地区」を訪れると、計画から60年以上が経過して整備されたマッカーサー道路を、森ビルの超高層ビルが跨ぐ形で建設されている。ビルは環状線と一体化した立体構造を持ち、山の頂のように虎ノ門地区に建っている。

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森ビルの歴史・沿革

周囲には森ビルの歴史そのものともいえるナンバービルが数多くあり、同社はその「再々開発」を合わせることでこの地区に刺激を与えようとしている。港区周辺は、東京都が外国企業誘致のために推進する「アジアヘッドクォーター特区」の指定区域でもある。「港区の地場産業」を自称する彼らの目標は、この地区に官民の協働による新しい「国際都心」を作り出すことだ。

例えば10年後、あるいは20年後、森ビルが抱くその野望は果たして実現しているだろうか。

そのためには――と辻は言った。

「森が作り上げてきた森ビルの思想を組織として受け継ぎ、残していく必要があると思っています。もしそれがなくなってしまえば、同じような会社はいくらでもある。決してそうではないことを、内にも外にも示していかなければなりません。未来の都市をイメージできる人材を育て、そのための組織をいかに作り上げていくかが、私に課せられた大事な仕事。何しろ森ビルという会社は1代や2代で終わるにはあまりにもったいない、独特の個性を持った会社なのですから」

(市来朋久=撮影)
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