最終回は、辻さんが「規格外」と称する料理人を紹介する。年を取れば、先に答えが見える場面も増えるが、時には、過去の常識を捨ててはどうかと辻さんは言う。(2023年5月29日レター)

かつて、スペイン・バルセロナから車で1時間半ほどの場所に「世界一予約が取りにくい」と言われたレストランがあった。45席に対し、年間50万件の予約が殺到したという。2011年に突然閉店した「エル・ブジ」の料理長、フェラン・アドリアさんを紹介したい。

料理界の誰もがリスペクトするであろう、これまでの3人に比べると、アドリアさんの料理に関しては賛否両論あるに違いない。アドリアさんの功績が何なのかを私なりに定義するなら、前衛的な料理を通じて、フランス料理界に強烈なアンチテーゼを投げかけ、フランス人シェフたちを奮い立たせたことだ。そのおかげで、フランス料理は確実に進化した。

(構成=荒川 龍)