ヒット商品をつくる——。そのために、「ああでもない」「こうでもない」と試行錯誤をしていると、つい高いスペックや品質を目指し続け、いつの間にか「本当にお客様が求めていたもの」を見失ってしまいます。アサヒビールの松山社長は、「マルエフ」を大ヒットに導くにあたり、「味と質」よりも大切にしたことがあると言います。顧客目線の本質についてお話しします。(2023年8月14日レター)
私は2018年にサトーの社長を退任して、アサヒビールに入社しました。専務というタイトルをもらってマーケティング部門を率いることになり、数日後の全体朝礼でさっそく顧客主義の話をしました。「企業の目的は顧客の創造」だというドラッカーの言葉を引いたうえで、「顧客を創造するには、お客様にワクワクしてもらうことが必要。お客様の心を動かすことをマーケティングのミッションにします」と伝えました。
もしかすると、皆さんにはごくあたりまえのことに聞こえるかもしれませんが、メーカーではお客様のワクワクを上位概念として置く考えに疑問を抱く人が少なくありません。品質のいいものをつくることを最優先にしてしまうのです。
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(構成=村上敬)

