市場シェアを拡大させようとするとき、ライバルが大きな組織であった場合は、人手が多い分、網羅率も高く、非常に強敵に感じるでしょう。小さな組織が戦うには小さな組織なりの戦略が必要です。かつて宮崎県の小さな焼酎酒造会社であった霧島酒造は、他社が業界シェアを占めるなかで、どのようにして「黒霧島」を広め、多くの人に手に取ってもらえるようになったのか? 業界シェア1位を勝ち取った戦略を公開します。(2023年7月24日レター)
「黒霧島」の発売は1998年です。最初は宮崎県限定で、翌年から全国展開を始めました。といっても、いきなり日本全国に広く展開したわけではありません。当時の霧島酒造は今と比べると小さな組織で、営業担当の人数や販促費用が限られていました。少ないリソースを分割して各地に投入しても、売上5倍の業界トップに勝つのは難しい。小が大に勝つには、エリアを絞ってゲリラ戦を挑むしかありません。そう考えて、重点地域をつくってリソースを集中的に投入しました。
まず集中させたのは福岡でした。そこで成功体験をつくってから、次は広島、仙台と地方の中核都市を一つずつ攻略しました。そうやって「黒霧島」のシェアが高い地域を少しずつ増やし、体力をつけたところで最後に最大の消費地である東京に攻め上りました。このように小さな組織が戦力を集中させて数的優位をつくり、大きな組織を各個撃破していくやり方は、「ランチェスター戦略」として知られています。
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(構成=村上敬)

