目標を見つけるには「好きだったこと」を振り返る
自分が本当に自分らしく生きられるような「目標」を見つけるには、自分がやりたかったことや好きだったことを、まず振り返る必要があります。つまり、自分の「原点」を探ってみるということです。
過去を振り返ってみたとき、あなたは一体どんなことにワクワクしていたのでしょうか? 例えば、ひとりでものづくりをするのに夢中になった人もいれば、多くの人と交友関係を築きながら賑やかに遊ぶのが好きだった人もいると思います。語学を勉強するのが楽しかったり、スポーツの試合に出て勝ち上がることに喜びを感じていたりした人もいるでしょう。
こうした子どもの頃に好きだったことや、若いときにやり残したことなどの「自分の資源」をていねいに洗い出し、もう一度見直していく作業から人生の目標を見つけていくのです。また、10代の頃にどんな職業に就きたかったのか、どんな未来図を描いていたのかを振り返るのもいいですね。
そして、自分の資源の手がかりが見つかったならば、その部分をリスキリングするイメージで、いまこそやりはじめてください。自分のなかにポジティブな記憶や感触が残っているものごとに再び取り組むと、その当時は感じられなかった新たな発見や喜びをたくさん体験できるはずです。
メンターをとおして未来の自分を見つめる
別のアプローチとして、自分にとってのメンターを見つけて、その人を理想の姿として追っていくという方法もあります。メンターというと、若い人だけが持つようなイメージがありますが、実は成熟した大人だからこそ優れたメンターが必要ではないかとわたしは考えています。
「こんな生き方をしている60代ってかっこいいな」「80歳になってもいい歳の取り方をしているな」と感じられるような未来のメンターを、50代の人でも60代の人でも見つけていくことをおすすめします。強く憧れる人と触れ合うことで、「自分もいまからこうなれるように生きていこう」と、これからの人生にポジティブな気持ちを持てるようになるでしょう。
メンターを持つのは、なにもビジネスで華々しく活躍している人の背中を追いかけ続けることだけに限りません。むしろ人生の後半戦は、「自分らしく生きている人」からヒントを得ながら、自分の人生をより豊かに、幸せに過ごすという観点で考えていくのがいいと思います。
メンターの姿をとおして自分の未来を見つめることは、現在と未来を別々に捉える視点を持つことにもつながります。いまの自分と、時の流れを切り離して考えることを「スルータイム」と言いますが、この「スルータイム」を意識することで、過去や現在のつらいことから自分を切り離しやすくなります。そうして、理想の未来に向かってポジティブな気持ちを抱くことができるのです。
その意味でも、何歳になってもメンターを見つけて自分を成長させていくことは、ビジネスの成功や経済的な面だけでなく、心の健康にとってもいいことだと言えるでしょう。
己を知れば前向きに進んでいける
目標を実際に実現させていく具体的なプロセスにおいては、「イメトレ文章完成法」というメソッドがあります。これは、11の定型文の空欄を埋めていくだけで、自然に自分を行動へと導いていく方法です。
これによって、目標やビジョンが明確になり、自分の現在地を具体的に知ることができます。また、感情を整理して言語化することができ、自分の感情を「見える化」をすれば、自ずと歩んでいきたい道筋が、つまり、自分の未来が見えるようになります。
心のなかで前向きな視点を生み出すため、自己肯定感も上がっていきます。今後の自分の道しるべを見つけるのはもちろんのこと、現在のパフォーマンス向上のためにも存分に活用できる強力なテクニックです。
肯定的な言葉を繰り返し使えばそれが「現実」となる
目標を達成し、自己実現を助けてくれる「アファメーション」という有名な方法もあります。アファメーションとは「肯定的な自己宣言」を指します。自分が思い描く未来の理想や、望む結果を言葉にして宣言し、自分自身に語りかける方法です。
例えば、「ついに役員に昇進した!」「資格試験に合格した!」というように、現在完了形を使って自分に語り続けていると、脳が「できた」という完了のイメージを強く思い描けるようになります。「それでは根拠がないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、人間には言葉で宣言することで、潜在意識においてそのように脳が信じてくれる仕組みがあるのです。
人間の脳はプラスの言葉もマイナスの言葉も、人称などにかかわりなく、そのままのかたちで受け入れます。この脳の仕組みを活用し、自分の人生をポジティブに変化させていきたいのなら、肯定的側面を見ることができるプラスの言葉を意識的に使っていくようにするわけです。
さらに、より簡単なアファメーションが、「肯定的な言葉を繰り返す」ことです。例えば、「わたしはできる」「なんとかなるよ」「わたしはいつもラッキーだ」「大丈夫!」という言葉を、口ぐせにように繰り返し言い続ける。すると、脳は繰り返しその前向きな感情を、現実のものとして感じることになります。
わたしたちの心(感情)の状態は、どんな言葉を使うかによってまったく変わるのです。いつも「最悪だ」という言葉を使っていれば、心は最悪な状態になっていきます。逆に、「なんとかなるよ」と常に言っていれば、心は自然に「なんとかなる」と前向きに思うようになるということです。
アファメーションはあやしい方法でもなんでもなく、脳の仕組みに沿ったメソッドなので、ぜひ一度試していただければと思います。


