※本稿は、西本朱希『女性のための50歳からの筋トレ入門』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
筋トレで見た目が変わると食事を改善したくなる
ウエイトトレーニングを始めると、徐々に扱うことのできる重量が増え、身体の見た目にも変化を感じるようになります。トレーニングを始めてからの数年間が、こうした変化を最も実感できるため、この時期のトレーニングが一番楽しく感じられると思います。
そしてトレーニングで見た目が変わってくると、「さらによくしたい!」という欲が出て、食事に関しても自然と気をつかうようになってくるものです。
たんなる食事制限でのダイエットや、「生活習慣病の予防」といった目的ではなかなか食生活を変えられない……という方も少なくないと思いますが、筋トレが、食事改善のモチベーションに一役買ってくれるのです。
身体づくりのための食事とは、「〇〇を食べることがおすすめ」……ということはなく、「バランスのよい食事を心がける」、これにつきます。
「たんぱく質は筋肉づくりに必要だ!」とか「この栄養素は○○に重要だ!」のように言われると、その食材や栄養素をたくさんとりたくなりますよね。でも、そういった食べ方は結局「無駄に過剰な栄養素を摂取」することになり、偏りをつくる食べ方になります。
身体に必要な栄養素や機能性成分は、「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の三大栄養素、「ビタミン」「ミネラル」の微量栄養素、消化酵素で消化できない成分である「食物繊維」、植物の苦みや香り・色素などに多く含まれる成分「フィトケミカル」です。
筋肉量を増やすには総カロリーの60〜70%を糖質で
ご飯・パン・麺類などの主食からは主に炭水化物、肉・魚・卵・大豆製品などの主菜からは主にたんぱく質と脂質、野菜・きのこ・海藻類を使った副菜からは主に食物繊維とフィトケミカル類を摂取できます。ビタミン・ミネラルは、主食・主菜・副菜、それぞれに違った種類のものが含まれています。
そのため、ありきたりに聞こえるかもしれませんが、「三食とも主食・主菜・副菜をそろえた食べ方をする」、これがバランスのよい食事の基本です。とくに副菜を食べる習慣や、嗜好品については制限をかける習慣が大事です。
健康的な身体づくりをしていくために適した炭水化物・たんぱく質・脂質の割合や量などを統計で示したデータをもとに、理想的な一日の摂取量をご紹介します。
糖質(炭水化物)については、減量している・していないにかかわらず、基本的には総カロリーの50~60%の摂取が、筋肉量を増やして代謝を上げていくためにも、健康的な生活を送るためにも、適した量です。減量中でも、おにぎり1個程度の主食を一日3回食べるのが基本になるということです。
糖質は、その種類によって働きが変わってきます。主に主食となる穀類からの摂取を7割と考えて、お菓子やジュース、果物などを主食代わりにするような食べ方は避けましょう。また精製された白いお米は食物繊維などが不足して吸収されやすい特徴がありますから、玄米や五穀米を混ぜたり、副菜となるものを多めにとったりする習慣が大事です。
たんぱく質は、一日に体重1kgあたり1gで十分で、多くても体重1kgあたり1.5gまでが目安。主食もしっかりとれているようであれば、一食あたり肉や魚を一切れ程度(100g以下の量)で十分です。サプリメントを追加する必要はありません。


