BOSにしても、トレードの発想にしても、山田GMの話を聞いていると、米映画『マネーボール』のブラッド・ピット演じる大リーグ、オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMを連想させる。
山田GMにそう言えば、「そんなことはありません」と照れた。
「ただ選手を選ぶ発想は似ているかもしれません。他の球団が外した選手やどんな選手にも長所を見つけ、チャンスを与えたいと思っています」
ところで、ファイターズのスタッフには元教師が多い。栗山監督は小中高の教員免許を持ち、大学の教授を務めていた。大渕SDは高校教諭だったし、ほかにも高校教諭出身のスカウトがいる。2軍選手寮の教官の本村幸雄氏も元高校教諭、1軍ヘッドコーチの阿井英二郎氏も高校教諭からの転身である。
ここにも「育成型チームを目指す」という強化方針が透けて見える。ドラフトで高校生を軸に指名し、中長期的に育てていく。技術だけでなく、心の部分を伸ばすということである。
「もちろん学校の先生ありきじゃありません」と山田GMは笑う。「人を育てるのがうまい人が、たまたま学校の先生だったということです」と。
もっとも、人間づくりは意識している。無頼のプロ野球のイメージを変え、ちゃんとした社会人をつくりたい。なぜなら引退後の人生の方が長いからだ。
「少なくとも、日本ハムに在籍した人たちは素晴らしい、と言われるようにしたいのです」
組織は「人」なり。それが山田GMの、ファイターズの、日本ハムという会社の基本思想である。球場のバックネット裏から空を見上げ、山田GMが漏らす。
「目標は、やっぱり優勝ですよ、優勝。死に物狂いで戦っている日本ハムの試合を見て、いろんな環境の人に何かを感じていただく。もし大谷が二刀流でがんばったら、これはもう……」
夢が膨らむ。心がはずむ。今年のファイターズのスローガンは「純-ひたむきに」である。