「本物のお金持ち」はどこに投資しているのか。10兆円の資産を築いた投資家、ウォーレン・バフェット氏を研究するジェームズ・パードウ氏の『エッセンシャル版 ウォーレン・バフェット』(サンマーク出版)から、その一部を紹介しよう――。

※本稿は、ジェームズ・パードウ著、中島早苗訳『エッセンシャル版 ウォーレン・バフェット』(サンマーク出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

バフェットがハイテク株を買わない理由

バフェットの世界では、注目を集めるような派手な事業が投資の成功例になったケースはほとんどない。ロケットやレーザー関連の企業は少なく、煉瓦メーカー、塗料メーカー、カーペットメーカー、家具メーカー、下着メーカーの株を買ってきた。そういう企業の株が好きなのだ。

火の中で燃える100ドル紙幣
写真=iStock.com/Anna Pecherskaia
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なぜなら、理解しやすく、事業が安定していて、キャッシュフローが予見できるからだ。そうした企業は人目を引くものではなく、魅力たっぷりなものでもない。質実剛健で、歳月が経ってもあまり変化しない──そういう企業が毎年着実に収益と売上高を伸ばしていくのだ。

バフェットは、ファイバースコープやコンピュータソフト、バイオテクノロジーといった最先端技術を喧伝しているニューエコノミー企業の株をもっていない。そういう新しい技術の場合、技術開発費用を出した投資家に儲けが入ることはめったにない、とバフェットは言う。たとえばラジオやテレビは確かにみんなの生活を変えたが、開発費用を出した投資家が報われることはなかったとバフェットは指摘する。

セクシーな転校生より近所の女の子

ダンスパーティーに行くとしたら、どんなタイプの女の子と行くだろうか。

最近外国から引越してきた、だれもが魅力的だと思ってはいるが、本当はだれもその子のことを知らないような女の子と行くだろうか。それとも、前からよく知っている近所の女の子と行くだろうか。

バフェットは近所の女の子と行くように、と言う。

うっとりするほど素晴らしい成長見通しを示すセクシーなニュービジネスに惑わされてはいけない。セクシーな見かけに惑わされると、正確な長期判断ができなくなる。魅力たっぷりのニュービジネスは、しばらくは華々しい成功を収めるかもしれないが、こける可能性も大きいのだ。

では、煉瓦、塗料、カーペット、家具をつくっている、いわゆる「近所の女の子」タイプの企業はどうだろう。こうした業種の製品は時代に取り残される心配がほとんどない。この先一〇〇年でも生きつづけるだろう。しかも、バフェットはそのなかから半永久的に競争優位と安定した収益力を保ちそうな企業を選ぶ。

三〇年のタイムスパンで考えろとバフェットは言う。三年ではなく、三〇年順調に成長してこそ優良企業と言えるのだ。