感情を引きずらず、心を平穏に保って生きるにはどうすればいいか。禅僧の枡野俊明さんは「感情は、自分自身から湧いてくるものだが、それは自分の心そのものではない。激しい感情におそわれたときこそ、しっかりと受け止め、やさしく手放すといい」という――。
※本稿は、枡野俊明『「し過ぎない」練習』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
感情を否定しない。受け入れて手放す
喜怒哀楽、愛憎、嫌悪、恐怖、不安、驚き――。人間にはさまざまな感情があります。感情があるのは生きている証拠であり、命ある限り感情はありつづけます。
感情は、起こった現象の単なる反応ではなく、私たちの行動や判断を導く重要な役割を果たします。
たとえば、怒りは自分や大切なものを守るためのエネルギーを生み出します。喜びは、快適で安全な状態を促進し、その状態を維持しようとするモチベーションを高めます。
悲しみは、大切なものを失ったときにその喪失を受け入れ、次の行動を考える時間を与えます。このように感情は、人間が生きるための心の警報システムなのです。
ところが、感情も激し過ぎたり、長く引きずれば、困った存在になります。
過剰な怒りは、人間関係に深刻な問題を引き起こします。相手との信頼関係が壊れ、対立がエスカレートしたりする可能性があります。
さらには、言葉の暴力や物理的な暴力に発展するリスクもあります。怒りが抑えられずに職場で怒りを爆発させると、周囲から孤立してしまいます。

