※本稿は、中山祐次郎『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』(あさま社)の一部を再編集したものです。
「嫌な人からはすぐに離れる、いい人とだけ仕事する」
人と一緒に仕事をするようになると、今度はその人との関係に悩むようになる。「この世の悩みはすべて人間関係である」という言葉があるように、他の人との関係は本当に難しい。ひとりぼっちで仕事ができたらなんと楽なことか、と思う。
僕は、幸いこれまで人に恵まれてきた。一人だけ、意地悪の塊みたいな人がいたが、その人を除けばみんな僕が少しでも良くなるようにと思って精一杯尽くしてくれる人ばかりだった。
それは偶然じゃなく、ちゃんと理由がある。それを、君に教えたい。
「嫌な人からはすぐに離れる、いい人とだけ仕事する」ということだ。
なんだ、当たり前じゃないか、と思っただろうか。
でも、これはとっても大切なことで、ちゃんとやれている人は全然いない。ちょっと解説すると、すぐに離れるというのは物理的に離れることが大切だ。1年に一度も会わなければ、嫌な人から受ける害はゼロになる。そして忘れられる。いい人を見つけたら、とことんその人と一緒にやる。人生の大きな転機で、僕はいつもそうしてきた。
離れられないときは「接点を少なくする」
ただ、すぐに離れられない状況のことは残念だけれどある。学校では嫌な人が担任の教師だったら、なかなか離れられない。部活や塾の先生であっても離れられない。
そういう時は、なるべくその中でも壁を作って接点を少なくする。そして、辞められるものだったらさっさと辞めてしまう。どうしても難しかったら、心を閉ざしてその人をいないことにする。それでもつらかったら、やっぱり辞めてしまうことだ。
心が壊れてからでは遅い。君はそのために生まれてきたのでも、生きているのでもない。お金やキャリアなど、どうにでもなるからね。
嫌なトレーニングとか嫌な勉強に歯を食いしばって頑張ることには忍耐力をつける意味があるが、嫌な人と無理して近くにいてもただ消耗するだけだ。そして多くの場合、その嫌な人も君といることでダメージを負う。だからお互い不幸なだけである。