何を言っても全否定してくる人たちがいる。いったいなぜ、どういう精神構造なのだろうか。そして、それにはどう対処していけばいいか。社会学者・宮台真司氏に、分析してもらった。
暗い個室で怒っている人
写真=iStock.com/Atstock Productions
※写真はイメージです

なんでも否定する人は「表現」に失敗している

まず準備体操です。言葉を発する際、表現(expression)と表出(explosion)があります。「表現」の目的は聞き手にインプレスする=納得させること。「表出」の目的はエネルギーの発露で、話し手は「気分スッキリ」しても聞き手は納得せず、相手をその気にさせるコミュニケーションとしては失敗です。赤ちゃんが泣くのは「表出」で、言葉を学んで成長すると「表現」を身につけます。

全否定する人は、大人になり切れない「育ちが悪い人」。文化もあります。アメリカ人はまず相手の話を否定してマウントを取ります。先に橋頭堡を確保して「お前もファイティング・ポーズを取れ」と誘う。ドイツ人は相手に喋らせ「要はこういうことですね」と要約してコメントをつける。「謙譲は美徳」の日本人はこちらを好み、「ファイティング・ポーズ」を取ると、偉そうで大人げない人に見られます。

そこにディベートのヒントもあります。ポイントはテクスト(言葉)とコンテクスト(文脈)の区別。コンテクストの語源は「言葉に伴うもの」。ここでは言葉を喋る態度(アティチュード)です。勝ち負けのコミュニケーションでは、何を言うか(テクスト)より、どんな態度で言うか(コンテクスト)に注目しましょう。「単なる感想だね」がマウント取りの典型ですが、そう言われたら、怯まずに「その通り。まず感想を話してから本題に入ります」と返せば、マウント取りに失敗した相手が戸惑うのを観察できる。こうして相手のジャブを受け流して論理で反論します。