高齢者の健康管理で気をつけるべきことは何か。医師の和田秀樹さんは「湯船にゆっくりつかると心身がリラックスして気持ちがいいが、年を重ねてからの長風呂は命の危険をともなう大事故につながりかねない」という――。
※本稿は、和田秀樹『60歳でリセットすべき100のこと』(永岡書店)の一部を再編集したものです。
腰痛で安静にしすぎると体の機能が低下する
高齢になるにつれて腰痛は、ぎっくり腰よりも「慢性疼痛」が多くなる傾向にあります。
「慢性疼痛」とは、痛みが3カ月以上続いたり、再発をくり返したりするもので、焼けるような痛みだったり、重く鈍い痛みだったりします。
腰痛になる原因は、主に以下のようなものです。
●長時間同じ姿勢でいる
●前かがみや中腰になることが多い
●運動不足で足腰の筋力が低下している
●重労働や運動のしすぎで筋肉疲労がある
●敷き布団やマットレスがやわらかすぎる、または硬すぎる
また、体が冷えたり、筋肉が緊張したりすると血行が悪くなって腰痛になりやすいようです。腰が痛いと動くのもつらくなるため、あまり体を動かさなくなってしまいますが、安静にしすぎると体のさまざまな機能が低下してしまいます。
ただ、ぎっくり腰など急に腰が痛んだ場合は安静にしましょう。
腰痛を防ぐためには腹筋を鍛えるというよりも、おなかの筋肉を使うようにするといいでしょう。へその下あたりを意識して、おなかに軽く力を入れるような感覚です。
立ったり座ったりする時の姿勢も大事で、猫背になったり腰を反りすぎたりしないように気をつけること。老後に腰痛に悩まされると外出する機会が減って、脳への刺激がなくなり、老化が進んでしまいます。
日頃から体を動かして、筋力が衰えない生活を心がけるようにしましょう。
「量体裁衣」――実際の状況に応じて、ものごとを現実に適した形で処理する策を講じること。何事も杓子定規な考え方はしないようにしましょう。

