定年後の人間関係で心がけることはあるか。医師の和田秀樹さんは「人生の節目を迎えたら、一緒にいるとストレスを感じる人や、何だかしっくりこない人とつきあうのはやめたほうがいい。そもそも誰とでもうまくやっていかなければいけないわけではない」という――。
※本稿は、和田秀樹『60歳でリセットすべき100のこと』(永岡書店)の一部を再編集したものです。
夫婦関係は“つかず離れず”がいい
定年後の夫婦が、お互いに神経をすり減らしながら暮らすことになるか、自由にのびのびと暮らすことができるかは、二人の距離のとり方次第です。そこで、これからは「つかず離れず婚」にシフトすることをおすすめします。
相手のことに干渉せず、それぞれ好きなように生きていく。自立した関係を築き、必要な時は支えあう。お互いが心地いい“つかず離れず”の距離をとる生き方です。
「つかず離れず婚」を実践するにあたってのポイントは、
●相手と物理的に距離をとること
寝室を分ける、週末だけ別居する、別々に外出する機会を増やす、長期の旅行に出て「プチ家出」をするなど、顔を合わせない時間をつくりましょう。
●相手に接する時間を短くすること
一緒に買い物に行かない、一緒に食事をしない、起床・就寝時間をずらすなど、夫婦で行動する時間をなるべく減らすようにしてみましょう。
●相手に何も期待しないこと
勝手に期待して裏切られると、怒りがわいてきてストレスになります。相手に何も求めなければ、気がラクになるでしょう。
●いざという時は相談できる間柄でいること
定期的に対話する時間をつくっておくと、相談もしやすいでしょう。
こうしてほどよい距離感を保てると心に余裕が生まれ、相手への思いやりや感謝の気持ちも芽生え、穏やかに結婚生活をまっとうできるでしょう。
「和敬清寂」(禅語)――お互いを認めあうこと。たとえ“つかず離れず”の関係であっても相手を敬い、和らいだ心で接するように心がけましょう。