ついにスポンサー離れが始まった

会見のスケジュールにも疑問符がつく。

阪神・淡路大震災から30年となる1月17日、それも、金曜日の午後3時から、という設定は、ニュースバリューを小さくするため、と見られても仕方がない。大きなニュースの影に隠そうとしたのではないか。週末を越えれば風が止むとの見込みではないか。そんな疑念を抱かせるに十分だったからである。

ただ、こうやって、フジテレビの対応を、いくらあげつらっても、むなしい。

今回の港社長の会見は、木で鼻をくくる、というか、のれんに腕押し、というか、彼(ら)に何を言っても詮無い、としか感じられないからである。港社長が会見の冒頭で述べたように、現時点で本当に「おわび申し上げます」と思っているのなら、今回のような、「記者会見」とは呼べない代物を開いておいて、平然としていられるわけがないからである。

裏を返せば、これだけ、世間がフジテレビに声高に物を申すということは、それほどまでに、同社に期待をしているあらわれなのか。同社が「普通の会社」であるどころか、社会の公器=報道機関である、と願っているからなのか。

そうではない。同社に、そんな願望を持つことそのものが、お門違いだろう。

トヨタ自動車や日本生命保険といった、名だたる巨大スポンサーが、雪崩を打ってフジテレビでのCM放送を差し替えているのが、何よりのあらわれである。

写真提供=共同通信社
記者会見するフジテレビ幹部。中央は港浩一社長=17日午後、東京都港区のフジテレビ

「看過できかねます」とまで言い切っていたが…

昨年末の時点で「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」と断言したフジテレビは、その文書を、つぎのように結んでいる。

今回の件に関して、SNS等で弊社社員および関係者に関する憶測による記事・投稿が見られます。

誹謗中傷や名誉毀損に繋がる内容は看過できかねますので厳にお控えください。

「内容については事実でないことが含まれており」としながらも、どこが「事実でないこと」なのかを指摘せずに、「看過できかねます」とまで言い切っていた。

こうした対応を、初期に行ったのであれば、その筋を通すべきである。

実際、フジテレビ側は、会見で、「12月の時点で(同社社員の関与を)調査を終了していないにも関わらず否定されたコメントを出された」理由を問われ、「いろいろなものを調査継続中」であり、「そのホームページの記載自体も正しかったかどうかというのも(調査委員会に)判断していただきたい」と述べている

こう答えている以上、まだ、12月に出した文書の見解=「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」は、維持されている。

もし、調査委員会に「判断していただきたい」のだとすれば、少なくとも、今回の港社長の会見で、この文書と、その内容について、撤回したり、訂正したり、といった対応が求められるのではないか。

主張を貫くわけでもなく、あらためるわけでもない。会見での質問を、のらりくらり、と交わすことに(しか)目的がないように、私には見える。

そんなフジテレビに、報道機関たれ、と望むのは、ムダである。