自分の評判が会社の枠を超え業界中に広まり、あわよくばヘッドハントの対象に……。グローバル化が進み終身雇用も危ういなか、腕に覚えのあるビジネスマンは「引き抜き→大出世」の夢を見がちである。人脈を広げようと、やみくもに社外の要人と接触したがる人もいる。
だが、「まずは社内で評価を高めるのが先です」と井上和幸氏(経営者JP社長)は釘を刺す。
「信頼というのは、身近なところから順に伝播していくものです。逆に、身近な人が信頼してくれない人を誰が信頼しますか?
そういう人はメディアを通していくら目立っても、一過性の評価ならともかく継続的な評判は得られません」
したがって、上司や同僚、部下からいかに信頼を集めるかが鍵である。それには「自分の仕事を期待以上にやりとげること」が必要だ。
「期待どおりの仕事にとどまっていてはダメでしょうね。100点の仕事なら101点を目指せばいい。もし80点しか取れそうもないなら、81点を目指すのです。とにかく1点だけ上乗せする」
具体的には、1日の仕事を終える前に「あと1通だけメールを出しておこう」「あと1件だけ伝票を処理しよう」という精神を持つことだ。
「そういう行動習性がついている人は、何事もプラスに処理するようになります。それがいいんです」
200点、300点を目指すなというわけではない。「1点上乗せ」を習慣化するほうが長い目で見ると効果的なのだ。