したがって、家族の友人などあなたの周辺に「暴力団関係者かもしれない」と思われる人物がいたら、関係を持たないようにするべきだ。頻繁に飲食を共にしたり、金銭を貸したりする関係に至っていれば、「密接交際者」と認定される可能性が高い。相手が古い友人であるとか、近しい関係にある場合は、暴力団をやめるように説得することも必要だろう。
もっとも、暴走族など指定暴力団とはされていない反社会的な団体の構成員との交際関係については、今のところ条例の対象とはなっていない。また、暴排条例の利益供与禁止違反の実際の事例でも、勧告が出されるのは、悪質な事例等を対象としており、警告や注意にとどまる事例が多い。
だが、条例の勧告・公表の対象とはならなくとも、そうした関係がオープンになり、週刊誌等のマスメディアに過去の暴力団構成員との関係を暴露されれば、社会的非難を受け、公職にあるものであれば辞任に追い込まれるような事態を招くことになる。こうしたレピュテーション・リスク(評判の低下)は避けられないと肝に銘じておくべきだ。一般の人でも、暴力団との交際が強く推定される場合は、条例上は密接交際者と認定されるまでの関係を有していなくとも、部屋を借りられないとか、融資が受けられないといった不利益をこうむるおそれは十分にある。
また、表立っては契約の主体になれない暴力団員らが、友人、知人の名義を借りてクレジットカードをつくるといった「名義貸し」の事例も確認されている。こうした犯罪に加担させられる危険も大きい。
とはいえ、関係遮断にも様々なリスクがともなう場合がある。各都道府県の暴力追放運動推進センター(暴追センター)や警察に出向き、対処法を相談するのがいいだろう。
(構成=久保田正志)