瞬間湯沸し機能でタンクレスを実現
機能の進化が細やかで早かった商品、ということが普及に影響を与えたことは大きい。温風乾燥、脱臭、便器の蓋のオート開閉、タンクレス、清掃しやすいデザイン。最近最も進んだのは、ノズル洗浄の水が除菌効果のある水になったことと、水玉連射による節水効果だ。
「次亜塩素酸を含む『きれい除菌水』を吹きかけることで、2011年にノズルを、2012年には便器のボウル面までを除菌できるようにしたことは大きな進化でした。これにより、ノズルも便器もきれいな状態が長持ちします。これは自動的に水道水を電気分解して除菌効果のある水をつくるもので、1〜2時間するともとの水に戻り、環境への影響はありません。もうひとつ、99年から加わったワンダーウエーブ洗浄という機能は、1秒間に70個以上の水玉が連射する叩き洗い。これは少量の水でたっぷり洗った効果が期待できるんです」(同)
たっぷり洗うためにタンクに水を溜め、これを常時温めていたシステムが、タンクレスで瞬間湯沸かし器のようにお湯が出てくるシステムになったことは画期的だった。また便器自体の自浄機能も進化してきている。
「もともと陶器の会社ですから、便器の陶器の釉薬(うわぐすり)を研究し、電子顕微鏡で見ても凹凸なくつるつるしたレベルになっています。こうすることで、汚れの原因やカビの胞子もつきにくく、加えて先ほどの除菌水でいつもきれいな便器を保てるようにと考えています」(同)
徹底した清潔へのこだわりと同時に、その意識をどう生活者に浸透させていくかにも尽力してきた。
「当初はまず『使ってみなければわからない』快適さというものをどう知らしめていくか、が問題でした。販売店の奥様に使ってもらえるようモニターになってもらったり、ゴルフ場のクラブハウスに設置させてもらったりして、まず意識の高い人たちに使ってもらえることに努力したようですね」(同)
今その努力は海外へと向かっているようだ。
「海外での普及はまだまだこれからです。各国で異なる文化や清潔の概念を尊重しながらも、きれいを実現する技術を投入し、新しい文化として根付かせていきたい」(同)
「おしりだって洗ってほしい」という名コピーのCMが登場したのは1982年。今や日本人の清潔感を代表するこの商品が、国内外での所有率をさらにあげていくだろうことは疑いがない。
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※ビデオリサーチ社が約30年に渡って実施している、生活者の媒体接触状況や消費購買状況に関する調査「ACR」(http://www.videor.co.jp/solution/ad-plan/acr/index01.htm)や「MCR」の調査結果を元に同社と編集部が共同で分析。同調査は一般人の生活全般に関する様々な意識調査であり、調査対象者は約8700人、調査項目数は20000以上にも及ぶ。