人びとはどのサービスをどの程度利用し、その傾向は年々どのように推移しているのか――。プレジデントオンライン編集部がビデオリサーチ社と共同で お届け する本連載。首都圏の消費者を「お金持ち」層(マル金、年収1000万円以上)、「中流」層(マル中、年収500万円以上から1000万円未満)、「庶民」層(マル庶、年収500万円未満)という3ゾーンに区切り、生活動態の分析を試みている。
もともとは医療用だった!?
ビデオリサーチ社の生活調査での温水洗浄機能付便座の所有率は全体で50.7%。所得差でかなり所有率の差が出た商品であったが、マル庶層には若い世代も多そうなので、あまり需要を感じない人もいるのかもしれない。
グラフを見ると、少しずつ全体に伸びてはいるものの、マル庶層のみ、2011年から2012年にかけて5%ダウンしている。
TOTOがもともとこの商品を発売した1960年代には、まだまだ医療用というイメージもあり、さらに当初は輸入品だった。その後、1978年11月から日本人のおしりに合った形に新規で開発が進められ、1980年6月に「ウォシュレット」として発売になった。わずか2年足らずで発売にこぎ着けた裏には、社員約300人が肛門の位置を計ってノズルの位置を決めたというような細やかな作業もあった。
今でこそ温水洗浄機能付便座=「TOTO」というイメージがあるが、1960年代には既に他社からも発売されており、けっして先発ではなかった。TOTOの「ウォシュレット」がシェアを拡大していったのは、まさに機能の進化に人々の欲求が集まっていった歴史なのである。
「おかげさまで2010年にウォシュレットは30周年を迎え、2011年2月に累計3000万台を突破しました。1000万台突破までに18年、2000万台突破までにそこから7年、3000万台突破までにそこからまた5年。普及の速度が早まってきている実感はあります」(広報部)