置き配も「自己防衛策」も一長一短
このように置き配盗難対策を列記すると、それぞれ一長一短であることが分かる。
例えば、コンビニ受取、営業所受取、オープン型宅配ロッカーは、近所になければ利用することが難しいし、「重たい」あるいは「大型」の荷物は利用しにくい。
駅に設置されているオープン型宅配ロッカーなど、利用者が多く空きが出にくいロッカーは、いつまで経っても受け取ることができないケースもある。
実際、筆者も最寄り駅のPUDOを利用しようとしたら、1週間も受け取れず、最終的にはヤマト運輸から電話があり、対面受け取りに切り替えた経験がある。
防犯カメラは、盗難の発生抑制に効果的ではあるが、集合住宅において、共用廊下部分に防犯カメラを勝手に取り付けると住民間トラブルに発展するリスクがある。
リスクを知ったうえで賢く利用する
そして、置き配は利用者自身が恣意的に選択すべきだ。
Amazonなど、一部のEC事業者などでは、デフォルトの配達方法が置き配になっているケースがある。ぜひ自分自身の設定を確認してほしい。
置き配は、EC・通販・個人間取引などを担う宅配における再配達削減と省力化に大きな効果が期待されている。短時間で大量の荷物を配達しなければならない配達員からは、「すべての荷物が置き配であってほしい」という声も上がっている。
だが置き配は、残念ながら良いことばかりではない。
「『置き配』は、ネット通販を中心に、急速に普及していますが、誤配、盗難などのリスクもあります。メリットとデメリットを理解して利用しましょう」、これは2022年6月の国民生活センターによる情報発信だが、まさしくそのとおりである。
置き配には、盗難の他にも、「荷物を乱暴に扱われ、中身が破損していた」「水濡れして商品がダメになった」「置き配荷物の荷札から個人情報、あるいは購入した商品の品名から個人の趣味嗜好がばれてしまうことが怖い」といったさまざまなリスクがある。
再配達の削減には貢献しつつ、かつトラブルにも巻き込まれないように、賢く置き配を利用してほしい。