会社の業績も「感謝」でアップ

続いて、組織による仕事、集団での仕事における、感謝の力を検証します。

感謝が会社の部署内、チーム内でも広がっていくと、お互いに感謝し合うようになる。そうすると、会社の雰囲気も良くなり、仕事の効率も上がり、会社の業績アップにもつながります。

感謝が企業文化として定着すると、計り知れない効果が得られるのです。集団的感謝が引き起こすすごい効果について説明します。

ありがとう
写真=iStock.com/Canan turan
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生産性を向上させ、ストレスや不満を軽減する

①生産性向上

感謝の気持ちは、従業員の効率、成功、生産性に非常に重要であり、良好な人間関係と社会的支援を増加させます。従業員個人のモチベーション向上、生産性向上にともない、組織全体の生産性も向上します。

②会社への帰属意識、愛着の向上と離職率低下

感謝が多いほど、会社、組織への愛着が深まります。

感謝の気持ちが強い従業員は、リーダーや同僚との関係が良好であり、これが幸福感と組織へのコミットメント(愛着)を高めます。組織に対する感謝の気持ちは、組織の目標達成を支援したいという欲求を刺激し、帰属意識も高まります。

感謝されることで、組織の一員として「自分が必要とされる感覚」が高まります。さらに組織に感謝することで、帰属意識がさらに高まる。会社への愛着が高まることで、離職率を下げる効果も得られます。

「教員」を対象にした感謝の介入(仕事の中で感謝を取り入れる方針を取ること)により、仕事満足度が17.9%向上し、離職率が低下しました。

感謝はまた、職場環境におけるストレスや不満、心理的燃え尽きの影響を軽減します。従業員の満足度や仕事へのやりがいを増やすため、結果として離職率の低下が期待できるのです。

③不正行為の減少

感謝によって道徳性が向上し、不正行為を控える行動をとることが、実験で明らかにされています。

近年、大企業による「データ改ざん」や、社内の不祥事の隠蔽などが告発され、大事件となっています。企業の存続にも関わるダメージを受ける場合もあります。

従業員ひとりひとりの道徳心を高めるのは簡単ではありませんが、企業内に「感謝の風土」を作ることが、不正行為の抑止につながる可能性があります。