※本稿は、樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
親切は何倍で返ってくる?
感謝の実験①「返報性の法則」は本当か?
心理学で「返報性の法則」というのがあります。人に親切にされると、親切をお返ししたくなる心理のこと。1971年に心理学者のデニス・リーガンが行った実験が有名で、昔から心理学の教科書に必ず書かれている法則です。
それを受けてか、スピリチュアルの世界でも、「ギブをすれば、必ず戻ってくる」と言われます。でもあなたは、どう思いますか? ギブをすれば、必ず戻ってくると思いますか? 人に親切にしても、何も返してくれない人は、多くないでしょうか?
多くの人が、人に親切にできない理由は、親切にしても「何も返ってこない可能性が高い」ので、「人に親切にしても、無駄になる。損をする」と感じているからだと思います。
親切にしたものが、確実に10倍に返ってくるのなら、ほとんどの人は必死になって「親切」をするでしょう。
これを、私は実験してみようと思いました。
身近な20人に親切をしてみた
まずは、自分の身近な人10人に、「その人の喜ぶこと」を徹底して行いました。その人が知りたいことを教えてあげたり、その人の本を紹介したり、人を紹介したりしました。
半年ほどしましたが、何かが返ってくることはありませんでした。さらに、10人くらいに、同じことを繰り返しました。最初の10人にも親切を継続しました。
親切実験から1年ほどたって、「お返し」する人が現れましたが、ボチボチです。
3年すぎた頃に、私にとって非常に重要な人を紹介してくれたり、大きなイベントに呼んでくれたり、ということがようやく起こり始めました。
10人に親切の実験をすると、5人は何も返しません。3人はギブした分くらいは返します。ひとりは、3倍以上にして返します。そして最後のひとりは、10倍返し。
自分の人生の転機となる人を紹介してくれたり、すごいチャンスをつなげてくれたりするのです。
結論を言うと、「トータルで考えると、与えたギブは、3倍以上で戻ってくる」。これが私の実験結果です。
ただ注意すべきは、どういうわけか半年くらいでは、全く効果が見られません。1年くらい継続して、小さな効果を実感する。「見返り」などを全く忘れた3年すぎくらいに、なぜか大きく戻ってくるのです。