「こいつだけは許せない」という存在に気持ちをかき乱されないようにするにはどうしたらいいのか。『人生が好転する95の言葉 大人のための“名言ケア”』(創元社)を上梓したコラムニストの石原壮一郎さんが人間関係の難しさに苦しむ人に向けた5つの名言を紹介する――。

嫌な奴ばっかり…複雑にからまった人間関係をほどくヒント

人生における最大の悩みの種は「人間関係」です。会社の中にも、気に入らない相手や苦手な相手がいるはず。「合わない」程度ならどうってことありませんが、時には「許せない!」「ふざけんな!」という激しい怒りや憎しみを抱いてしまうことも。

そんなときに、別の同僚に「あいつだけはホントどうしようもない」「今日もこんなことを言っていた」などと悪口や批判に精を出しても、何の解決にもなりません。むしろ余計にムカムカするし、結果的には自分の評判や評価を落とすだけです。

人間関係のあれこれは、いくら悩んでも考えても出口は見えてきません。ただ、相手の性格や態度を変えることはできなくても、自分の受け止め方や考え方を変えることはできます。名言の力を借りて、複雑にからまった紐をほどくヒントを探りましょう。

名言その1

【弱いものほど相手を許すことができない。許すという気持ちは強さの証だ】

マハートマー・ガンディー(インドの弁護士・政治指導者・思想家/1869~1948年)
マハートマー・ガンディー
マハートマー・ガンディー(写真=Elliott & Fry/PD-UK/Wikimedia Commons

人と人とが付き合う中で、相手の言動に怒りを覚えたり、理解できないと感じたりすることはよくあります。そのたびに「こんな人とは思わなかった」と幻滅したり、「こんな人とは付き合っていけない」と距離を取ったりしたら、あっという間にまわりから誰もいなくなるでしょう。

誰しも身に覚えがあるように、人間は完璧ではありません。そして、どんなに仲が良くても、すべてわかり合えるわけではありません。自分自身も、たくさんの不完全な部分を抱えていて、思いがけず誰かを怒らせたり、知らないうちに周囲から顰蹙を買ったりしながら生きています。

相手を許すのは簡単ではありません。許すためには、自分自身も含めて人間の不完全な部分を丸ごと受け止める勇気と覚悟が必要です。許さずに怒り続けているほうが「楽」ですが、マイナスの感情に振り回されていても何も得られません。勇気を振り絞って、「許す」という選択肢を選んでみましょう。

●結論 「許す」という決断をすることで、不快な経験を糧にすることができる