頭のいい人はどんな勉強をしているのか。現役東大生ライターの清野孝弥さんは「高校3年の時、睡眠を削って受験勉強の時間を増やせば増やすほど、テストの成績は下がっていた。その時、睡眠時間を削って勉強するのは間違いだと気づいた」という――。
部屋で勉強する子供
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夜中に勉強を続けるべきか、寝るべきか

今は23時59分。
明後日には、受験本番が控えている。
勉強しておきたい範囲は山ほど残っているけど、そろそろ就寝時間だ。
あと少し頑張って2時間勉強するべきか……。
それとも、今日はもう寝て明日に備えるべきか……。

皆さんも、このような葛藤を経験したことがあるのではないでしょうか。受験勉強に限らず、「明日までに提出しなければならないレポートがある」「締め切り間近の仕事がある」など様々な理由から、夜遅くまで作業を強いられることがあるでしょう。

そんな場面で必ずと言って良いほど問題となるのが、この「寝るか寝ないか問題」。勢いそのままに、夜遅くまで勉強を続けた方が効率よく勉強できる気がする……。その一方で、早く寝て、翌朝から勉強を再開した方が健康には良い気もする……。

このような受験生の悩みに答えはあるのでしょうか。答えは、「はい、あります」。勉強を続けるよりも、早く寝た方が圧倒的に効果的です。その理由を、筆者が独学で東大に現役合格した実体験をもとに、睡眠や記憶に関する研究結果を用いながら解説します。

「夜型」は効率が落ちる

まず受験生や、受験生を抱える保護者の方に理解していただきたいこと。それは、「1時間や2時間の睡眠不足でも、受験勉強には悪影響が及ぶ」ということです。

AASM(アメリカ睡眠医学会)の報告によると、高校生の睡眠時間を5時間に制限すると、注意力が散漫になったり、集中力が低下したりして、認知能力に悪影響が及ぶことがわかっています。注意力や集中力とは、まさに受験で必要とされる能力です。これらがうまく機能しなくなると、せっかく学力があっても、試験で得点に結びつけることができなくなってしまいます。

例えば、普段は24時に寝て、7時に起きていた高校生が、受験勉強のために、2時に寝て、7時に起きる生活習慣に変えたとしましょう。すると、この高校生は、慢性的に「5時間睡眠」の状態になってしまいます。この場合、常に注意力や集中力が低下しますから、マラソン選手が腰におもりをつけて走っているような状況になってしまうのです。

睡眠不足の状態で勉強すると、どれほど学習効率が低下するのか。この点については、複数の研究結果が提示されていますが、仮に20%ほど低下するという説に従って、検証してみましょう。

1日に10時間勉強をする頑張り者の受験生が、ある日、深夜24時から2時まで、2時間分追加で勉強をした場合を考えます。この場合、増えた勉強時間は、2時間です。しかし、翌日の勉強時間10時間のうち、20%(2時間)は頭が回っていません。そのため、増えた2時間と減った2時間が相殺されて「深夜勉強は効果なし」ということになります。

【図表1】寝不足状態での勉強は効果減