活用できる“隙間”は2時間以上ある

家に帰ってから、ご飯を食べるまでの時間。(例:19時から19時30分までの30分)
ご飯を食べてから、勉強を始めるまでの時間。(例:20時から20時30分までの30分)
勉強を終わりにしてから、寝るまでの時間。(例:23時から24時までの60分)

日常生活には名前もつかない隙間時間が、ありとあらゆるところに転がっています。このような時間は、すべてかき集めると「2時間以上」になることが多いです。

【図表2】受験生の勉強スケジュールの実例

先ほど紹介したように、24時以降も勉強したいという受験生から相談を受けたら、私の場合は必ず、日中の時間の使い方について確認するようにしています。すると大概は、ただYouTubeやSNSを眺めていたり、スマホのゲームで遊んでいたり……と時間を無駄にしていることが発覚します。

私の母校である神奈川県立横浜翠嵐高校では、このような指導を受けました。「8時間寝て、8時間部活をしても、8時間は勉強できる」と。

現実的には、移動時間や食事の時間があるため、このようなスケジュールは成り立ちませんが、それでも「8時間寝て、8時間勉強しても、8時間は自由な時間がある」というのは驚きです。(一体私たちは、この自由な隙間時間を何に使っているのでしょうか)

「睡眠を削る」のは正しい努力ではない

睡眠時間を削ることは簡単です。それに、夜遅くまで勉強をしていると、努力している感覚すら出てきますから、「寝るのは怖い」と感じる方もいるかもしれません。しかしここまで述べてきたように、睡眠を削ってまで勉強するのは正しい努力とは言えません。より成績を上げたいと思うのであれば、睡眠時間を削ることに力を割くべきではなく、日中の隙間時間を有効活用するべきです。

ただ、頭では分かっていても、実際に行動を変えるのは至難の業ですよね。「いくら理論的には寝た方が良い」とわかっても、自分の進路がかかっていると思うと、そう簡単には行動に移せないことも、実体験を通じてわかります。だからこそ、受験生の周りにいる人たちの支援や声かけが大切になると思います。

受験生は常に進路、合格・不合格というプレッシャーと闘っています。だからこそ、夜の23時59分になっても、「あと2時間は頑張ろう」と思ってしまい、無理をしてしまうのです。そんな時に、周囲にいる人たちが「もう寝て良いんだよ」と声をかけてあげたら、どれだけ気持ちが楽になるでしょうか。

「睡眠を取ることは甘えではありません」。むしろ寝ないことがリスクなのです。せっかく勉強を頑張ったのに、成績が下がるなんてもったいないですよね。もし受験のプレッシャーと、睡眠不足のストレスに苦しむ受験生がいれば、このことを伝えてあげてほしいと思います。

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