内容が頭に入らず、成績が下がった
実際には、睡眠不足が翌日以降にも影響します。また、寝不足ゆえに、ストレスが増えたり、勉強するモチベーションが低下したりします。こうしたことを踏まえれば、「深夜勉強は、百害あって一利なし」と言えるでしょう。徹夜なんて、もってのほかです。
しかし、皆さんの中には「理屈として、寝た方が良いのはわかる。しかし、時には夜遅くまで勉強するという努力も大切なのではないか」と考える方もいるかもしれません。
実は、私もこのように考えていた時期がありました。東大受験生と聞くと、「とにかく勉強をしまくる」というイメージがあったため、私は高校3年生の夏休みに、周りの受験生に負けまいと、寝る時間も惜しんで、毎日10時間以上勉強をしました。睡眠時間を削った分、日中に頭がボーッとする感覚がありましたが、それでも勉強時間を確保する方が大事だと考えて、ひたすら、がむしゃらに勉強を続けました。
しかし、皮肉なことに、睡眠を削って受験勉強の時間を増やせば増やすほど、テストの成績は下がっていきました。高校2年生の時に理解していたはずの内容が頭に入らなくなり、同時に、テストの点数も急降下するということが起きました。そこで、睡眠時間を削るのは良くないと思い、テスト前日くらいは十分に睡眠を取るように心がけました。しかし、それでも成績は下がり続けたのです。
“試験前日の早寝”くらいでは取り戻せない
なぜこのようなことが起こるのか。それは、「失った睡眠時間は簡単には取り返せないから」です。
睡眠不足によって傷ついた脳は、簡単には元に戻らないと言われています。1日や2日程度の睡眠不足は、数日間、規則正しく睡眠を行えば、回復すると言われています。しかし、数週間以上にもわたる慢性的な睡眠不足は、数週間、何カ月以上にわたって規則正しい睡眠を取らない限り、回復することはないと言われています。
私の場合も、30日以上にわたって睡眠不足の状態で、勉強を続けてしまったがために、継続的に脳が傷ついた状態になっていました。テスト前日にぐっすり寝たところで、失った注意力や集中力は取り戻せなかったのです。
幸い、私の場合は高校3年生の10月頃に、本記事で紹介しているような「睡眠不足と学習効果」に関する論文を読む機会を得て、自分の勉強方法を見直すきっかけを得られました。自分自身が睡眠時間を削ったことを反省し、それ以降「1日に最低でも8時間は寝る」ということを徹底しました。その甲斐もあってか、テストの成績は順調に回復していきました。