投資の効果には時差がある

「少ない投資でたくさん稼いでいるか」は、営業CF、投資CFの2つの推移から確認します。ロート製薬の主要経営指標の推移をもう一度見てみましょう。

2024年3月期の営業CF342億円に対して投資CFはマイナス163億円。投資CFのマイナス額の2倍以上の営業CFとなっています。ここで注意が必要なのは、投資の効果はすぐにあらわれず数年の時差があるものです。

そこで投資CFの推移にも着目します。2020年3月期の投資CFはマイナス94億円。それ以降、マイナス102億円、マイナス164億円、マイナス131億円と多少の凸凹はありますが、極端な変化は見られません。

ロート製薬で注目したいのは、コンスタントに営業CFが投資CFのマイナスを上回っていることです。営業CFと投資CFの合計額をフリーキャッシュフロー(以降、FCF)と呼びますが、FCFがプラス基調を維持しています。

この表よりもさらに過去をさかのぼると、ロート製薬は2010年3月期以降、FCFのプラスがずっと続いていることがわかります。FCFのプラスを継続でき、かつこの表からわかるように営業CFも拡大傾向にあるということは、事業で得られた現金の範囲内で上手に投資を行い、その投資が着実に成長に結びついている企業と推測することができます。

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