※本稿は、馬渕磨理子『一歩踏み出せない人のための株式原論』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「この人、好きだな」と思える人
自分の一挙手一投足が「投資」です。だからこそ、背伸びしないことです。
私たちは一人で生きることはできません。どこかの組織に所属しながら生きざるを得ません。なので、誰かから評価されることも最後までつきまといます。面倒くさいかもしれませんが、それが人間として生きることなのだとも思います。
生きることや言動そのものが評価の対象になっています。だからこそ、自分の振る舞いは「投資」です。どんな振る舞いをしてきたかも大事ですし、言っていることが一貫していることも大事です。
これだけ、SNSなどによって、コミュニティなどあらゆるものがどこかでつながる時代になっていますので、「裏表が激しい人」はいずれ、バレるでしょう。裏表がない、あるいは、ほとんどない人が信頼されます。だから、裏表などを気にせずに、自分の素で生きるほうが評価される時代です。かっこつけたり、いい子ぶる発言はいずれどこかで化けの皮が剥がれます。最初から「かっこつけずに」自分の思うままに生きている方がいいのです。
投資という視点を持つと「裏表があることは」むしろ、人生において「リスク」です。ありのままの発言をすることでレバレッジがかかり、自分を大きく成長させてくれるでしょう。
私自身が、その基準に苦しめられ続けた時間を過ごしてきました。女性のあるべき幸せにどうしても馴染めない苦しみ。
心の赴くままに生きたい。
それを可能にしてくれたのが、間違いなく株式投資であり、その先にある、社会で自立して生きる場所を手にすることでした。共に仕事をする中で、その人の才能に惚れ込んでしまうことがあります。その人が書いた文章を読み、人としての深みを感じた時に、胸がキュンとします。
仕事の事前準備の丁寧さや、仕事の進め方に緻密な計画性を知った時に計り知れない信頼を感じ、ときめきます。
恋愛感情ではないですが、「この人、好きだな」と正直に思います。
私が仕事を通じて「好きだ」と思える相手は、結局、私以外の周りの人たちも「大好き」なのです。だから、マーケット・労働市場でとても価値が高い報酬になります。
ビジネスなので、クオリティの高い仕事をして当たり前なのですが「この人、好きだな」と思ってもらえるところまでの仕事ができる人に魅力を感じます。
「この人、好きだな」と思う根底には何があるのでしょうか。私なりに紐解くと、そこには「知を重ねた・美学」が感じられるのだと思います。ビジネスシーンで収入をアップさせる方法は、テクニックや方程式があるわけではなく、エモーショナル・感情的な部分が大半を占めていると思います。
文明がどれだけ発展しても、むしろ発展すればするほど、人々は、人間が努力してしか得られない学びの姿や、年月をかけてもたらす信頼貯金に価値を見出すのではないでしょうか。