もう1つ、小川は物事のポジティブな面を見るよう心がけているという。
「ミーティングや商談の後に反省会をするんですが、みんな必ず悪いことから言ってくるんですよ。でも、過去はやり直せないから悪い要素を探しても仕方ない。だから『まずうまくいったところから話そう』と言ってよかったことを挙げてもらう。その後、『わかった、じゃあ次回はどうしよう?』と聞くとまた悪い話ばかり出てくるので、『そうじゃない。次同じことをするとしたら、どうすればもっとよくできるか?』と尋ねる。そうやってものの見方を矯正していきました」(小川)
「ここが悪いから直せ」ではなく、「もっとよくするにはどうすべきか」と考えたほうが前向きに物事に取り組める。前述したようにメンバーに改善ではなく「高い期待」を求めるのも、ポジティブなアプローチをとるためであろう。
細やかなコミュニケーション、厳しいルールに加えて、絶えない笑い。こういったチームづくりにこだわる理由を、小川は「おもしろい人と仕事をしたい」からだと言う。
取材の最後に、メンバーを前にして小川は唐突に言った。
「僕、本当はあまり部下とかには興味がないんです。職務上必要なので、もちろんメンバーには緊張感をもって接します。でも、上司という立場を離れて言うと、おもしろいやつと仕事をしたいし、おもしろいやつだとトップからも思ってもらいたい」
周りにおもしろい人を置きたいから、メンバーにも高い要求をする。小川のそんな思いがチームを駆動させているように見えた。
(市来朋久=撮影)