次の会議で緊張しながら発言すると、意外な反応に気がついた。

「『こんなこと聞いていいのかな』とビビリながら質問したんですが、みんな『いい質問だね!』と言って答えてくれるんですよ。発言したことは誰かが必ず拾ってくれる。そうすると自信がついて、自然に質問や発言ができるようになるんです」(白石)

発言を必ず拾ってもらえるのは会議などオフィシャルの場に限らない。「新入りがこれ言っちゃダメかも、といった心配もない」(白石)。その安心感が発言しやすさにつながり、仕事でもそうでなくても競っておもしろいことを言おうとする好循環が生まれている。

小川がメンバーとのコミュニケーションの場として重視しているものは3つある。1つは月に1回、全員と1対1で行う定例ミーティング。“One on One”と呼ばれ、会社が義務づけているものだ。2つめが3カ月に1回実施する四半期会議。そして商談やミーティングの後の反省会。それらに加え「基本的に社内をうろちょろする」(小川)。

「5分くらいのちょっとした時間にアドバイスをくれたり、逆にこちらが相談したくても声をかけにくいときに絶妙のタイミングで声をかけてくれたりします」(陳内)

また、彼らがオフサイトと呼ぶ、就業時間中にチームで外部へ遊びにいく活動がある。これは会社が推奨しており、これまで江戸切子をつくりに行ったり、はとバスに乗ったりした。

小川のコミュニケーションの特徴は、豪放な雰囲気からは想像しにくいが詳細を詰めて齟齬をなくすことだという。

「小さいミーティングでも必ずゴールを設定し、各自の役割や用意する資料を決めます。商談の後も、『相手の反応がこうだったから今度はこうしよう』といったフィードバックがあります。進捗の確認と軌道修正、新しい課題への取り組み方を逐一話す場所があるので、『アクシデントで大変』という事態にはほとんどなりません」(藤本)