年齢や職場でのポジションが変われば、学び方も変わる。自身でキャリアを切り拓いてきた3人に、行動につながる学習の秘訣を聞く。

仕事の達人は勉強の達人

仕事で大きな成果を出せる人は例外なく、「勉強の達人」である。そういう人には2つの特徴がある。1つは、知識を得る、何かに詳しくなるという漠然とした学び方ではなく、何のために勉強し、いつまでにどんな成果を挙げるのかという目的意識を持っていることである。

もう1つは、本や資料はもちろん、セミナー、スクール、趣味、生身の人間、自らの体験と、あらゆる手段を使って日々勉強し続けていることである。逆にいえば、そういう人が成果を残せないはずがないのだ。

就職活動と若手の人材育成に詳しいコンサルタントの常見陽平氏、「サイバーエージェントにこの人あり」といわれる同社取締役の曽山哲人氏、ソニー、グーグルを経て現在は起業家として活躍する辻野晃一郎氏、いずれ劣らぬ仕事と学びのプロに、目的に応じた学び方を伝授してもらおう。

目の前の仕事で成果を出す

【常見陽平】2つのアドバイスをしたい。1つは「その仕事に徹底的に詳しくなれ」である。

私はリクルートに入社して2年間は営業担当で、3年目から販売促進担当になった。当時、売り上げを伸ばそうと同業界だけでなく他業界の営業担当がどんな工夫をしているか、いつも気にかけていた。本や資料に目を通すのはもちろん、セミナーにも多数参加した。

そうやって得た知識をもとに、顧客相手に無料のセミナーを実施した。自らプレゼンテーター役を務めながら、「どんな内容だったらお客が集まるか」「どんなことに反応してくれるか」を実験していたのだ。

これを繰り返すと、「こうやれば売れる。お客さんが評価してくれる」という成功方程式が見えてくる。さらにビジネス書を何冊も読んで自分でつくりあげた方程式と既存の理論とを突き合わせ、ノートに書きためた。そのやり方を部内で共有したら、皆の売り上げがぐんと伸びたのである。