ワーキングプア代表からエコノミストや政治家まで、社会的に発言力がある人の多くがこの数字を用いるから、誤解が際限なく広まっている。

確かに、15~24歳に占める非正規社員の比率は、5割に迫る(46.5%)という事実はある。しかし、非正規社員248万人のうち、約半分の115万人は在学中、というもう一つの事実は、多くの場合見落とされている。 そう、学生バイトだ。

考えてみれば、大学卒業するのは、ストレートでも22歳。浪人・留年すれば、23・24歳にすぐになる。最近では大学院進学者も増えている。そうすると、24歳まで学生、という人は非常に多い。だから、非正規率は上がって当然なのだ。

そもそも、1980年代半ばと比べて15~24歳の人口は約400万人減っているのに、大学生は約100万人も増えている。とすると、学生比率が急上昇、同時に学生バイトの割合も上がって当然。ここを見落としているのだ。

問題は他にもある。15~24歳の正社員比率は、昔から低かった。この年代特有の現象でもある。10年前の1998年でも62.4%となっている。ところが10年たって25~34歳になった彼らの正社員比率はどうだろう? そう、今では74.4%となり、実数では462万人も増えている。おわかりだろうか? この年代の非正規率の高さは、いつものことなのだ。

同様の誤解を生む数字に、「15年前と比べて、15~24歳の正社員が300万人も減った」というのもある。実際の減少は266万人なのだが、該当年齢人口自体が573万人も減り、逆に大学生は48万人増えているという事実がある。これでは正社員は減って当然だろう。

(以上、雇用統計は、内閣府「労働力調査」、人口は同「人口推計」より)

※この連載では、プレジデント社の新刊『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(3月15日発売)から一部を抜粋して<全5回>でお届けします。

(澁谷高晴=撮影)