35歳でのMLB挑戦は吉と出るか凶と出るか。巨人の菅野智之投手が来季渡米する可能性が高まっている。『巨人軍解体新書』(光文社新書)などの著書がある野球評論家のゴジキさんは「今季15勝の背景にあるのは、精度を増したスプリットと驚異的な制球力。フィジカルの全盛期は過ぎているが、持ち前の技術を発揮できれば2ケタ勝利、エース格での活躍も十分できる」という――。

「巨人・菅野投手は下り坂、MLBでは通用しない」は本当か

巨人の菅野智之投手(35)は、昨年は右ひじのけがの影響でプロに入って最少の4勝で終わったが、今季は15勝(3敗)、防御率1.67、勝率.833。MVP級の活躍を見せチームの4年ぶりのリーグ優勝の原動力になった。

8回途中無失点で12勝目を挙げた巨人・菅野=2024年8月25日、東京ドーム
写真提供=共同通信社
8回途中無失点で12勝目を挙げた巨人・菅野智之投手=2024年8月25日、東京ドーム

17日のDeNAとのセ・リーグCSファイナルステージ第2戦にも登板予定だ。日本シリーズに進出しパ・リーグの覇者に勝って、巨人が12年ぶりの日本一になれるかどうかは菅野にかかっている。

その菅野は来季からのMLBチャレンジを宣言している。4年前のシーズン終了後にも、巨人の生え抜き選手として初めてポスティングシステムを利用したMLB移籍を目指したが、そのときは交渉がまとまらず残留。

しかし、今回は前向きな方向で動いており、すでに今季MLBで15勝をあげ新人王候補にも挙げられている今永昇太が属する名門シカゴ・カブスが2年3000万ドル(約44億7000万円)で獲得するのではないかと現地メディアで報じられている。

今季、若手が多い巨人投手陣の「生きる教科書」としてお手本となり投手陣の大黒柱だった菅野だが、はたしてMLBで成功できるのか。

「年齢的に30代半ばなのでMLBでの活躍はほとんど期待できない」
「すでに全盛期はとっくに過ぎている、通用するはずない」

SNS上ではこのような厳しい指摘も一部に見受けられる。確かにフィジカルの全盛期は2017〜2018年(2年連続の沢村賞)だったと言っていい。その後、怪我を乗り越え2020年には復活を遂げて2度目のMVPを獲得したとはいえ、2021年以降は年齢的にも下降線を辿っていた。

だが、今季は新たなピッチングスタイルにより平均球速が上がり、小林誠司とのバッテリーが復活したことも功を奏した。最適な配球や阿吽の呼吸が生まれ、打者と駆け引きする「大人のピッチング」で相手チームを翻弄した。その熟練たる技術をMLBでも発揮できれば、十分通用するにちがいない。