地頭のよい子を育てるにはどうしたらいいのか。『小学生が5日でできる 東大式 超速!読解ドリル』(実務教育出版)を書いた東大生作家の西岡壱誠さんは「普段の親子の会話から『なぜ?』と理由を尋ねるといい。因果関係を結びつける訓練を重ねれば、子供はどんどん賢くなっていく」という――。
机で勉強する人の手
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東大生の親は“遠まわしに”勉強を促している

賢い子が育つ家庭では、親子はどんなコミュニケーションを取っているのでしょうか?

子供が一番接する時間が長いのは、先生でも友達でもなく親であり、その親とのコミュニケーションの質が高いかどうかによって、子供の能力も大きく変わっていくということですね。

おそらくですが、多くの人は「親が、子供に対して、頻繁に『勉強しなさい』と言っている家庭は、子供が賢くなりやすい」と考えるのではないでしょうか。

宿題をやりなさいとか、テストのために勉強しなさいとか、そんなコミュニケーションが多い家庭の子供なら、学力が上がりやすいのではないか、と。

でも実は、そうではないのです。東大生の親御さんは、「勉強しなさい」とストレートに言うのではなく、少し遠回りをして子供に「勉強しなさい」と伝えています。

小さい頃から、「勉強しろ」と言われたこともないし、進路について口出しされた記憶はなかったが、勉強していないと「なんで勉強してないの?」と聞かれたし、進路に関しても「なんでこの中学に行きたいと思ったの?」と聞かれ、深掘りされた記憶がある(教育学部・4年)

このように、東大生の育つ家庭でのコミュニケーションは、「命令」ではなく「質問」である場合が多いです。

子供に「なぜ?」と質問する頻度が多い

勉強に関しても、「勉強しなさい」ではなく「なんで勉強しないの?」「勉強しなくていいの?」と聞く。その質問に対して、きちんと答えを求める。「こう言う理由でやらなくていいと思った」と言われたら、そこから会話を発展させる。

そういう姿勢があると、子供がきちんと考える習慣がついて、頭がよくなることが多いです。

「賢い子が育つ家庭は、親のコミュニケーションスキルが高い」と言われています。でも、「そんなこと言われても、どんなコミュニケーションを取ればいいの?」と多くの親御さんは思うでしょう。

また、「であれば、子供に対してニュースの話をしたり、アカデミックな話をした方がいいのか?」と思う人もいるかもしれませんが、東大生にアンケートを取ると、実はそういうことではないということがわかります。

もちろんニュースや社会情勢に敏感な親御さんを持つ東大生もいましたが、別にそういう親御さんだけではありませんでした。コミュニケーションの内容自体は、子供の脳の成長にそこまで大きく寄与するものではないのかもしれません。

その代わり、1つだけ共通点と見られるポイントがありました。それは、東大生の親御さんは、子供に「なぜ?」と聞く頻度が多かったということです。

先ほどの、勉強に対しても命令口調ではなく質問口調で聞く、というのもその一環です。そしてこの姿勢は、勉強以外の面でも見られます。