イノベーションを妨げる企業風土

バブル崩壊から30年余り、日本企業はグローバル経済の急速な進化に取り残されたように見える。GAFAMをはじめとする世界の主要企業は、その間に次から次へと新たな価値を生み出した。彼らと互角に戦っている数少ない日本企業の代表がトヨタだろう。

世界から取り残された日本企業には、組織の安定を支えてきた共通の風土が見られる。現状維持を何よりも優先し、「予定調和」や「前例踏襲」をよしとする文化。失敗や混乱を極力避け、“調整のための調整”を重ねていく、守りに強い文化。私が〈調整文化〉と呼んでいる風土だ。

〈調整文化〉が強い組織では、メンバーは本音を抑え、規律やルールに従うことが何より大切だと考える。「空気を読む」「同調圧力」「忖度」といった不文律が働いていくため、残念ながら自分で考える力はどんどん弱まっていく。やがて誰もが決断を回避するようになり、事なかれ主義が蔓延する。〈調整文化〉は組織の安定を維持させる一方、新しい価値を生むためのイノベーションに挑戦する姿勢は生みださない。