いまだ収束の兆しが見えないトヨタグループの認証不正問題。とりわけトヨタ本体の不正が発覚して以来、豊田章男会長への風当たりが強くなったままだ。2009年の社長就任から、業績不振だったトヨタを世界トップに押し上げたカリスマ経営者に何が起きているのか。スコラ・コンサルト創業者の柴田昌治氏は「存在感が大きくなりすぎた今こそ、豊田会長が打つべき手はある」という――。
「型式指定」を巡る不正について記者会見するトヨタ自動車の豊田章男会長(右)=2024年6月3日午後、東京都千代田区
写真提供=共同通信社
「型式指定」を巡る不正について記者会見するトヨタ自動車の豊田章男会長(右)=2024年6月3日午後、東京都千代田区

豊田会長の“信任率”はなぜ急落したか

今年6月に開かれたトヨタ自動車の株主総会では、空前の好業績とは別に注目を集めたことがある。豊田章男会長の“信任率”だ。

取締役の選任・再任は、原則として株主総会の決議によって決まる。今年の株主総会で、豊田会長の続投(再任)に賛成した株主は71.93%。佐藤恒治社長はじめ95%を超える取締役が多いなか、会長ひとりが70%台と目立って低かった。