年齢を重ねて、熟睡できなくなったらどうすればいいか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「眠りが浅くなるのは、実は『自己防衛本能』だという説がある。つまり、年をとるにつれて眠りが浅くなるのは、至極自然なことであり、むしろ健康である証拠だ。心配する必要などまったくない」という――。
※本稿は、高田明和『20歳若返る習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
「眠っているようで起きている」状態の正体
年をとったら、睡眠をどのように考えていくべきなのか? あらためて検証してみましょう。
人は年をとるほどに、睡眠時間が短くなり、眠りが浅くもなっていきます。
誰の眠りにも、ひと晩のうちに、「深い段階」と「浅い段階」があること、そしてその段階は、3段階あることをまず覚えておいてください。
第1段階では、ウトウトした状態です。このとき脳波は、ゆっくりした波形になります。一般的に人が目をつぶり、心を落ち着かせたときに出る脳波を「アルファ波」と呼びますが、睡眠第1段階の脳波は、これよりもゆっくりした波です。
このとき体は眠った状態に陥っていますが、自分がどこにいるかは認識し、「背中に布団が当たっている」といったような自覚はありますので、「眠っているようで起きている」という感じです。よく「金縛り」といわれる状態は、第1段階の睡眠が長く続いてしまっている状態です。
第1段階から脳波がさらにゆっくり遅くなると、人は眠りに入ります。このときが第2段階です。第2段階は完全に眠っている状態であり、自分がどこにいるのか、布団や姿勢の状態などへの意識はありません。しかし眠りはまだ浅いので、電話の音などですぐに目が覚めてしまいます。