死ぬまでボケないためには何をすればいいか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「『仕事に生きがいがある』という人、チェスや読書をする人は、そうでない人に比べて認知症の危険が低いことがわかっている。最も良くないのは『引きこもってボーッとしてしまうこと』だ。認知症対策として、運動はダンスや水泳は効果的である一方で、登山やサイクリングはケガを踏まえて認知症の危険度が増してしまう」という――。

※本稿は、高田明和『20歳若返る習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

アウトドアを楽しんでいるアクティブなシニア
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「仕事に生きがいがある」人は認知症リスクが低い

脳を活性化させ続け、人生の最後まで認知症にならないために、私たちは何をすべきでしょうか?

実はこの問題は、今、医学界でもっともホットなテーマと言ってもいいくらい、注目されている研究テーマです。

というのも、老人斑があり、軽度から中等の認知症だとされる人の約40%が、「生きているときにまったく認知症の症状を示していない」ことがわかってきたからです。このことは、「脳には、高齢になってから生じる異常を補うシステムが備わっている」ことを示しています。

注目されているだけあって、近年までに「脳の老化防止」について、数多くの論文が発表されています。これらの研究から、脳の老化防止には何が有効だとわかるのでしょうか?

まず、「仕事に生きがいがある」という人は、そうでない人にくらべて認知症の危険が低いことがわかっています。

さらに、チェスなど知的な刺激のある趣味のある人の危険率も低いこと、また、読書をよくする人も、非常に認知症のリスクが低いことが明らかになっています。

それに比べて、「楽器の演奏をすること」や「文章を書くこと」「人とおしゃべりをすること」などには、さほど認知症のリスクを下げる効果がなかったのですが、それでも何もしないよりはずっと効果的です。

要するに、「引きこもってボーッとしてしまうこと」が、認知症の予防には一番よくない習慣であるわけです。読書や囲碁、将棋、麻雀など、楽しいと思える知的な趣味を持つようにすることが大切でしょう。