日本は“自分の意思”を聞かれることに不慣れ
ちなみに、欧米の多くの国は、「君はどうしたい?」「あなたの考えは?」と、常に自分の意見を聞かれる文化なので、子どもも、そう聞かれることに慣れています。
ところが日本では、子どもはおろか、大人でも自分の意思を聞かれることに慣れていません。
なぜなら、職場でも家庭でも、「目先の課題解決」に追われると、ついそちらを優先させてしまい、「どうしたい?」と意思を聞く余裕がなくなってしまうからだと考えられます。
また、多くの人が「こうすべき」「こうしなければ」という、いわゆる「べき・ねば」の思考や、社会通念に縛られていて、自由な意思を語り合う文化がないことも理由のひとつでしょう。
結果、「自分が本当はどうしたいのかがわからない大人」が量産されているのです。時間に追われ、成果を出さなければならない仕事なら、課題解決を優先するのも仕方ないかもしれません。
しかし、子育てでは、子どもが成長する機会を与えることを優先し、ぜひ、「どうしたい?」と問いかけてほしいと思います。
「どうしたらいいと思う?」と聞いてはいけない理由
そしてもうひとつ。課題解決のほうに頭がいっていると、「どうしたい?」ではなく、「どうするのが正しいと思う?」と聞いてしまうかもしれません。そのほうが、会話が手っ取り早く解決策に向かうからです。
微妙な違いですが、「どうするのが正しいと思う?」と聞くと、その回答がハウツー(課題解決)に向かってしまいがちで、子どもの自由な発想の妨げになってしまいます。
勘のいい子なら、「こんな答えを期待されているな」と考えて最適解を答えるかもしれません。
「自分はこうしたい」と、「自分はこうするのが正しいと思う」は、似て非なるもの。正確な答えより、自己肯定感を上げる自由な発想へつなげるために、ぜひ、「どうしたらいいと思う?」ではなく、「どうしたい?」という問いかけを使ってください。
親が子どもの意見を丁寧に聞く姿勢を持ち、その答えを尊重することで、子どもは「自分のこと・考えを受け止めてくれている」と感じ、それが愛情確認につながり、自己肯定感や自律スイッチが育っていくのです。