どんな答えでも否定せずに「承認する」

子どもに、魔法のフレーズ「どうしたい?」を投げかけて、子どもから答えが返ってきたとき。その答えが、こちらが期待している答えと違うと、つい、否定したり、親として望んでいる方向に誘導したりしてしまいがちです。

しかし、これでは、子どもは「どうしたいか聞いてきたから答えたのに、答えなければよかった!」と思って、以降は答えてくれないか、あるいは「親が期待していると思われる答え」を選んで答える(いわゆる忖度)ようになってしまいます。

そんな子どもの答えが意に反するときに使えるのが、「承認する」という方法です。

次のような会話の流れをイメージしてください。

「自分ではどうしたいの?」
「○○○○したい」
「へえ、そうなんだ。○○○○したいんだ! 教えてくれてありがとう」

これでOK。「えっ? 子どもがどんな答えを返してきても賛成するんですか?」と思ったかもしれませんね。

いや、実はこの会話の中で、親は賛成していません。「子どもがそう思っている」ということを承認しただけ。そして、答えてくれたことにお礼を言っただけです。

“正確な答え”かどうかは二の次でいい

やってはいけないのは、子どもが「答えたくない」と感じ心を閉ざしてしまうこと。

目指したいのは、子どもが親の働きかけに対して「答えたい」と思わせることです。ですから、子どもの答えが、たとえ突飛なものであっても、実現の可能性を問わずに承認をすることが必要なのです。

この「どうしたい?」というフレーズは、問いかけること自体が大切であって、正確な答えが返ってくるかどうかは二の次だと思ってください。

機会があるごとに「どうしたい?」と聞くことで、子どもが、「聞かれる」→「答える」というパターンを学びます。そして、頭の中で「自分で考える」という回路がつながり、それが習慣になることが重要なのです。

「うちの親は『どうしたい?』と必ず聞いてくる」となれば、子どもは「会話の中で意思を伝えることは特殊なことではなく、当たり前の習慣だ」と感じるようになります。

それが子どもの自律性を育てるのです。そんな会話の習慣は、親であるあなたがきっかけをつくる必要があると覚えておいてください。