「治る」「奇跡の治療法」と書かれた本は本当に信じて買ってもいいのか? 眉唾な本を見極めるポイント、知識を実践するためのコツとは。本当に信じてもいい健康本の選び方を、医師であり作家の鎌田實氏が教える。
「肥満はいけない」はウソになっている
良い健康本とは、読者が前向きになれる本だと思っています。たとえば最近は、認知症に関する本も多く出版されていますが、過激な表現で読者を脅すスタイルの本も多いでしょう? でも、年齢を重ねれば、多少のもの忘れをするのは当たり前です。テレビを見ていても、俳優の名前がすぐには出てこなくなります。過度に心配するよりも、生活習慣を見直して楽しく毎日を過ごすことが大事です。それを促してくれる本はいい本です。
固定観念や常識を覆してくれる本も良い本だと思います。たとえば「肥満はいけない」と言われ、2008年からメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の特定健康診査・特定保健指導が始まりました。それ以降、日本中の人がメタボはダメだと思ってきました。たしかに40歳から65歳までの人がメタボになると、その後に脳卒中や心筋梗塞、認知症などの問題が起きやすくなります。しかし、65歳以上の人は、少し太っているくらいのほうが長生きしていることが、最近の研究でわかりました。それを本で知ることができたら、毎日の過ごし方がポジティブに変わると思いませんか?
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