介護をしている人の6割は仕事をしている
異次元の少子化対策やこども家庭庁の発足、出産育児一時金の引き上げなど、子育て支援に関する前向きなニュースを耳にする機会が多い一方で、高齢者定義の見直し提言や介護サービスの生活援助の給付除外検討など、介護に関するニュースには前向きなものが少ないように感じます。
令和3年6月の「介護保険事業状況報告」によりますと、要介護(要支援)認定者数は686万6000人に上り、介護を必要としている人は、増加傾向にあります。また、総務省の「就業構造基本調査」(令和4年)によると、介護をしている人も同数近くの約630万人となり、そのうちの約60%の365万人が仕事をしながら介護をしていることがわかっています。これは5年前と比較すると3%弱の増加となります。過去1年間に「介護・看護のために」職を離れた方の数は全体の1.4%、約10万6000人に上り、今後も高齢化社会が進む日本にとって大きな課題と言えるでしょう。
介護は人それぞれ事情が大きく異なる
育児と介護に関する両立支援については、「育児・介護休業法」という同じ法律の中に定められていますが、この2つの状況は大きく異なります。育児は期間が限定的で、子供の成長とともに負担は軽減します。また、子育て中であることは周知されやすく、1~2年の育児休暇から復職後、時短勤務やフレックスタイム制度などを活用しながら働き続けるケースが多く見られます。
一方で、介護は人それぞれ事情が異なります。週1回の掃除や買い物などの生活支援で足りる方もいれば、入浴や排泄、ストーマのケアが必要な方やがんによる疼痛管理が自宅で必要な方など、必要とされる支援はさまざまです。家庭状況や介護者の状況もさまざまで、時間的な経過とともに負担が重くなることも予想されます。いつまでどんな状況が続くのか、わからないのが介護です。
今回は、介護離職を防ぐための両立支援について、お話しできればと思います。(参考:平成29年度版「仕事と介護 両立のポイント あなたが介護離職しないために」)