自分一人なら経費と所得のバランスはほぼ一定

ちなみに毎年一人で仕事をし、誠実に帳簿づけをしていると、確定申告をするたびに売上と経費、所得のバランスがほぼ一定であることがわかる。私の場合は年間10万円を超える主な経費が下記6つで、どれも領収書や、交通費なら履歴、家賃なら使用面積といった裏付けがあるものだが、毎年だいたい同じ金額なのである。

「書籍購入費」(取材執筆の際に購入する本や資料費)

「接待交際費」(取材時の飲食や、取引先への手土産費)

「旅費交通費」(仕事関連の交通費・新幹線代、航空チケット、宿泊費も)

「外注工賃」(専門的な知識を教えてもらった取材先に支払う謝礼)

「荷造運賃」(取材に協力いただいた方にできあがった本や雑誌を送る運賃費、そのほか仕事関連の郵送費)

「地代家賃」(自宅の3分1を仕事のスペースとして使用しているため、家賃の3分の1を経費に計上)

私のような業種で、自分一人しかいなければ、「稼げる額(取材して執筆する量=売上)」には限界値があり、生活費をのぞくと、仕事にかけられる経費も自ずと上限がある。本が大量増刷したとか、講演が殺到したなどという外的要因がなければ、「売上-経費=所得(利益)」のバランスは変わらないのだ。

誰もいない教室
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「青色申告の特別控除」を初めて55万円まで適用した

前述した通り、今年は確定申告がしっかり作成できた。というのは、「青色申告の特別控除」を初めて55万円まで適用したのだ。実は昨年まで正式な帳簿づけのやり方がわからず、10万円しか控除していなかった(10万円控除は、税務署に青色申告をするという届出さえ出せば、白色と変わらない簡易な帳簿づけで適用できる)。

しかし昨年10月にインボイス制度が導入され、これまで消費税納税を免除されてきた小規模事業者(2年前の収入が年間1000万円未満)に対しても、実質的に課税事業者になることを求められるようになった。私は悩んだ挙句、昨年9月に「適格請求書発行事業者」の登録申請を行って課税事業者となり、昨年10月から12月分の消費税を今年3月に納めた。今後はずっと消費税を支払っていかなくてはならないこともあり、青色申告特別控除を55万円まで受けようと思ったのだ。

あまり誇れるやり方ではないが、私の確定申告のやり方を紹介する。

仕事関連の領収書が発生したら、「誰のために、何に使ったか」を領収書そのものにメモし、「交際費」「消耗品」「荷造運費」などの項目ごとに封筒に入れておく。取材交通費はノートに移動区間と、誰に何の取材目的で会ったかを箇条書きで残し、横に交通系ICの履歴も貼っておく。そうして確定申告の時期になると丸2日間かけ、1年分をまとめて作成するのだ(本来、毎日もしくは毎月やらなければならない帳簿づけなので、今こうして文字にすると自分でもズボラだと思う)。